フルカウント D501XX


 2004年8月、鳴り物入りでフルカウントのホームページで発表されたこのジーンズ。ウリは大胆にも『1950年代初期のデッドストックジーンズを再現しました』『シルエットはFULLCOUNTが所有しているものを忠実に、再現しています』等、私が常日頃求めていたヴィンテージジーンズの完全復刻をウリにしたジーンズです。

 最近のレプリカ系発のジーンズはオリジナリティの追及に傾倒し、ブランド立ち上げ当初の『うちのはXXを隅々まで研究して・・・云々・・・』と言うウリ文句も忘れたが如きオリジナリティっぷり連発でした。
 おまけに最近のジーンズの主流はデザイナーズ系に近い細身のジーンズだったので、私のような肩身の狭いXXコレクターとしてはフルカウントのサイトの解説読んでいるだけでそりゃもうウハウハでした。
 もうね、買わない訳にはいきませんって感じで発表3日後には予約に走り、10月1日GETできました。かなり飢えていたんでしょうね。ワクワクするレプリカに。

 このジーンズは当初250本限定と言う触れ込みでしたが、予約を過剰に取ってしまったらしく600本まで増産されました(まさか最初から600本作る予定でいて、希少価値を煽るために250本と発表したわけではないと私は信じております・・・)。う〜む・・・なんていいかげんな企業体制でしょう、普通の会社じゃこんないいかげんな仕事してたらやってられないです。後から予約した人は10月末のGETだそうですので、このページ見て予約キャンセルが増えるなんて事がないようにしないとイカンですね。まあ本音でいかせていただきますが、結論から言えば完全復刻されていません。私個人の結論として言えば、このジーンズは単にボタンやリベットに加工を施した限定のXXタイプなだけであって、完全模倣にも何もなってないです。

 あ、だからと行ってこれが糞ジーンズだとかどうしょもないジーンズだと言っているわけではないんですよ。完全模倣等の殺し文句がちりばめられた告知などで期待し過ぎた私に呆れ、想像していたよりも低かった模倣度に超ガッカリしているだけで、ジーンズそのもののシルエットなどは私にとっては非常に気に入るシルエットになっています。ただ、このジーンズをもろ手を上げて『最高』などとは言えないだけです。つーか、フルカウントの広告に期待して購入したヴィンテージも知っているレプリカ好きで、このジーンズを無条件に『最高』と言う人は、いないと思うんですけどね(笑)。ですので私は今後このジーンズに求めるのは穿いて良い色落ちになる事を祈るだけです・・・。

 あと、希望としてはこれこのシルエットでジンバブエコットンで作ってもって、普通のお値段で売ってらえると、個人的には0105よりも愛せそうなシルエットと穿き心地感を得られそうです。

 最後に個人的な希望としては、ぜひフルカウントには各地の直営店でモデルとしたフルカウントで所有しているオリジナルの501XXデッドストックを公開してもらいたいです。それを見ることによってフルカウントがこのジーンズにどれだけ完全模倣を目指したのかという姿勢も見る事ができると思いますので。
写              真 備              考


○全体図
 糊落としの儀が終わった後に穿いてみました所、太いと言う印象は無いです。私の体型がXX体型と言うこともあって、尻のもたつきも膝から下のもたつきも一切ありません。こんなシルエットが私の脚に一番合っていると言うかシックリくるシルエットです。

 0105と比較して、膝から下がやや細身に仕上がっています。XX体型なんだけど細身っぽく穿いてみたい人にはちょうどいいですね!つーかホント私に良い感じ。

 で、私の持っている同サイズの47年製と54年製XXと穿き比べてみると、膝の所の余裕がD501XXの方が微妙に細めと言うだけで、非常にシルエットとしては似ている所があるなと思います。フルカウントで所持しているXXとシルエットは全く同じと広告されていましたが、あながち嘘ではなさそうですよ。
○パッチ
 徐々に縮んでいく鹿革のパッチを使用しているとの事ですが、デッドストックの模倣をしたというわりにはこのパーツにはヴィンテージ感を感じる事ができませんでした。まあ、デッドストックの革パッチは洗濯後いきなり割れてしまうものもありますし、このパッチが糊落としの儀でいきなり割れ落ちてしまうのもどうかなとは思いますが、加工で何とかできなかったもんですかね・・・。

 取り付けられ方は腰帯上部を縫う際に一緒に縫っていく縫製です。上部は最初に通った針穴に再度通しています。


○フラッシャー
 ギャランティーチケットはありません。これのみ付いています。何と仕様は大戦モデルのフラッシャーらしく、中央よりやや下に『FOR THE DURATION』の赤字が!フルカウントが所有しているデッドストックのフラッシャーに大戦モデルのフラッシャーがまだ使われていたのでしょうか。
   ○タブ
 レーヨン製で表面にサークルRがつく片面タブです。最初の洗濯でだいぶ丸まりましたよ!


  

○バックポケット
 ポケット口にアールをつけた、やや大きめのバックポケットです。形的には申し分ありませんが、ポケット口のあたりの外周の縫製にちょっと技術を使っちゃっているらしく狭めです。

 例によってフルカウントの抜けばアーキュエイトになるステッチになっていますが、D501XX用に0105等とはアールを変えてステッチされています。若干アーキュエイトの位置が下に下りすぎている感じがしますが、0105等のアーキュエイトに比べればなかなかじゃないかなと私は思います。

 ポケット口はシングルステッチによる縫製です。

 ポケット外周の縫製は内外一気に縫っています。
○センターベルトループ
 太目のタイプで中央がやや膨らみのあるベルトループが使われています。ステッチの位置といい長さといいこれはいいんじゃないですかね?

 取り付けられ方は腰帯上部を縫製する際に一緒にベルトループ上部も縫い付けるバンザイ縫製になっています!
○腰裏のステッチ
 上部はシングルステッチです。


○コインポケット
 大きさはZIPPOを縦に入れて横幅に結構余裕があり、深さは1.6個くらい入る大きめの容量のコインポケットです。

 ポケット口裏には耳が使われています。

 ポケット外周の縫製は2本針のように見えますが1本針です。かなり生真面目に平行に縫われています。


○スレーキ
 いつもコインポケットと同枠でやっていましたが、これだけは言わせてください!画像2枚目のとおり、こんな角度はありえないでしょう。ヴィンテージのXXを本気で見て復刻したのか疑問に残る縫製どころです。これだけはホントに0105よりもなっていません。裏だから誰も気にしねーだろと思ったんでしょうか。レプリカ全盛期に量販店で5,000円以下で売られていた耳だけ付いてるだけの単なる量販ジーンズと変わらぬ縫製です。

 細かいところですが、ヴィンテージを模倣したと広告して売りに出し、レギュラーラインよりも高い商品なんですからこの辺までしっかりやって欲しかったです。なんかガッカリしちゃいます。こんな細かいところなんでどうでもいいジャンと言う人もいるかもしれませんけど、広告で出しているキャッチコピーが完全模倣なんですからしっかりやって欲しかったです。0105ではやってるんですし。やっぱり完全復刻なんて無理なんですかね・・・。
  ○品質表示タグ
 まあこんなのが比翼裏に付いております。
   ○リベット
 銅製のリベットで、特殊加工を施し5年にわたって屋外に放置していたと言う触れ込みのリベットですが、黒錆加減をアピールしすぎてどうにも黒すぎます(笑)。オマケにその自慢の特殊加工が災いしているのか、わざとらしさ(不自然に酸化している)が出ちゃっています。何なら特殊加工とかの小細工抜きに単純に銅リベットをそのまま放置してみればよかったのにと思いました。
○隠しリベット
 こちらも銅製リベットで、オリジナルの平たいタイプの隠しリベットに比べて微妙に厚みがあるし、錆加工はやりすぎなくらい黒いですが、こちらの錆加工の方は穿き込んでいるうちに少しずつ剥げて、良い感じになりそうです。


  
○トップボタン
 Vステッチは0105よりも鋭角になっているようです。

 ボタンは新たに金型を作成してボタンの字体や微妙なシボ具合もそのままに再現したと触れ込んでいますが、シボ具合がまだまだ甘いです。つーか、彫りの深さも私の持っている0105の方が雰囲気はあるような気がしますし、自慢の錆加工もトップボタンの表面には皆無でした。

 で、柱を見てみるとこれがビックリするくらい銅の柱にまで錆を塗りつけたようになっています。これは一体何を塗りつけたのでしょう。幸いこの錆モドキの塗装(?)は、糊落としの儀の洗いで銅の部分からはあっさりと取れて、鉄の部分に良い感じに錆加工を残しています。あ〜よかった。

 ボタン裏の加工は比較的好みです。
  ○2番目のボタン
 表面はこれでもかってくらい錆塗装が施されていましたが、糊落としの儀である程度薄っすらと付いていた部分ははげて、このボタンが一番自然にさびているなと言う錆加工の表情を見せています。
  ○3番目のボタン
 何かの液体をたらしたというのがミエミエの錆加工になっています。洗ったあとはその液体をたらしたと思われるふちだけが錆として残ってしまってちょっとガッカリ。
  ○4番目のボタン
 このボタンも何か加工用の液体を垂らして錆加工をしたのがミエミエになっています。3番目のボタン同様に、糊落としの儀の後は、液体垂らした縁のみが錆加工として残ってしまいました。
  ○5番目のボタン
 トップボタン同様あまり錆加工されていませんでした。

 しかしボタン裏の加工も全て何かの液体で処理したと言うのがミエミエで、全てのボタン裏は洗濯後も加工しましたよというのがミエミエの跡が残ってしまっています。やっぱり人工的にヴィンテージの風合いを造るのには限界があるのでしょうかね。
 

 
○セルビッチ
 耳幅平均を出せないくらいかなり歪んでいる耳幅ですが、細めで良いアタリを出しそうなピンクラインの綾耳です。

 この耳の縫製に使われている糸もフルカウントのウリとして購入の際に感じの良い店員さんから説明をしてもらいましたが、片方に0番糸を使い、アタリのキャタピラを出やすくしたとのことでした。しかし私の革パッチのヴィンテージたちは両面0番糸で縫われているんですが・・・。完全復刻目指したのなら余計なアレンジしないでおくれよ・・・。
○腰の補強糸
 ということで上記の耳の部分で0番糸の話が出たので、ついでにフルカウントのサイトの告知でもしていた補強の0番糸使用のところです。長さは長めですのでフラッシャーで大戦直後チックな感じを出しているように40年代中期から後期のような仕様になっています。
○股の補強糸
 ここもオリジナルに忠実に0番糸で縫われています。かなり生地が集まる部分ですので歪んだ縫製になりがちな部分ですが、なかなか頑張って縫製しています。それでも出る歪みがそれっぽくで良い感じです。


○生地
 デッドストックを参考に作られているわりには、糊付きの状態ではかなり濃すぎる色合いが気になります。

 糊落としの儀の後もやや紫がかっている濃いめのインディゴでオリジナルの深い藍とは別物の生地です。う〜む・・・・・・やはり完全復刻なんて夢のまた夢でしたか。申し訳ないですがこのジーンズは単なるボタンやリベットに加工を施しただけの限定のXXタイプと、私には見えてしまいます。

 これの1ヶ月前に出たフラットヘッドの限定のS2004よりも1万円高い商品ですのでちょっと高い出費でしたね。期待が大きかった分、途中予約段階での情けない増産劇の不始末なども加味したガッカリ感があります。

 これが色落ちしたらどうなるんでしょう。見た目は縦落ちする生地なので縦落ちはすると思いますが、糊落としの儀の後の生地の感触は47年製XXとも54年製XXとも違うものでした。
○オマケの洗剤
 1回分の洗剤がオマケでついてきました。糊落としの儀の洗濯の時にありがたく使わせていただきました。

○縮率です
表示 未洗い時 洗濯後
ウエスト 34インチ 36.75インチ
(93.4cm)
35インチ
(89cm)
レングス 36インチ 36インチ
(91.5cm)
33インチ
(84cm)
(あくまでも素人採寸ですので軽いご参考までに!)

●フルカウントのジーンズが買えるお店
  Snipe(宮城県)
  PIRATES(宮城県)
  VERY(群馬県)
  ベアーズ (東京都)
  INSTINCT (東京都)
  アースマーケット (千葉県)
  SHOOTING-GALLERY (新潟県)
  カンフル(滋賀県)
  カインド(滋賀県)
  ナチュラル スタンダード 芦屋 (大阪府)
  カインド楽天市場2号店(岡山県)
  デニムスタイルREMIX(岡山県)
  BLUE BEAT (福岡県)


レプリカジーンズの部



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