実験君の実験
レザーブーツを水洗いする
巷ではまだまだ水洗いなんてとんでもないと言う風潮があるレザーブーツ。 本当に水洗いしてはイカンのでしょうか。 私は素人ですがレザークラフトをやっています。 バッグなどを作るときに革に型の癖をつけるために、 水で濡らして型にはめ、乾燥させることもあります。 それで革が痛んだと言うことは一切ありません。 また、ツーリングに出かけて土砂降りの雨の中を何時間も走行したこともあります。 当然ライダースジャケットもブーツもズブ濡れ状態になります。 で、これまた当然帰宅後は乾かしてまた愛用します。 しかしズブ濡れになって以降革がダメになったと言うことはありません。 さらに、ブーツにカビが生えたこともあります。 当然水洗い、ひどいカビにはカビキラーすら吹きかけたことがあります。 当然その後に水洗いして乾かした後は元気です。 心配な人はクリーニング屋やリペア屋等 しかるべきお店に出して解消した方が良いと言う人もいますが、 私はそんなことはないと思います。 特にワーク系やバイカー系のワイルドさを売りにしているアイテムについては 自分でやってしまった方が後の風合いが良い事が多々あります。 ショップに出すと変に格調高い仕上がりになって帰ってくることがあります。 私は一度チペワのエンジニアブーツを、 カビが生えたのを機に革のクリーニング屋に出したことがあるのですが、 革質が変わってしまったのかと思えるくらいフニャフニャになって帰ってきたことがあります。 と言うことで私は自分で水洗いすることを激しく推薦いたします。 全くと言っていいほど気を使うことなんてありません。ただ洗えば良いだけです。 |
○今回の生贄 今回の生贄はウエスコジョブマスターです。 この画像見てください。ミンクオイルの入れ過ぎで白くミンクオイルが吹き出ちゃっています。安かったので中古のこの状態で購入したのですが、かなりミンクオイルの臭いがきついです。きっと前オーナーがミンクオイルを付け過ぎたのでしょう。これで町へ出たら周りの人に迷惑です。最近ミンクオイル付けすぎのレザーアイテムを結構見るようになってきました。オイルなんてのはそんなに付けなくていいんですからねと優しく教えてあげたいです。 と言うことでオイル抜きします。 |
○風呂に浸ける 浸け方は色々です。私はこの風呂に浸ける方法以外にシャワーでザブザブ湯をかける方法と洗濯機で遠慮なくガラガラ回す方法をやってみた事がありますが、どれも結果は同じです。 とにかくオイルが抜けるように温かい湯にドップリと浸けてみました。お隣のレッドムーンの10周年記念レザーシャツも同様にミンクオイル臭かったのでオイル抜きしました。 温かいお湯に浸けているので、一瞬で撮影をしないとあっという間にレンズが曇ります。 |
○風呂から上げる 約半日浸けっ放しにしました。 激しくズブ濡れです。この状態で除湿機の入っている私の趣味ルームに放置します。 この実験をしているのが8月の真夏ということで、 天日干しだと革が急速に乾燥してひび割れなどの心配があります。 ですのでカリカリに空気の乾燥した部屋の中で乾燥させました。 風通しの良いところで日陰干しと言うこともよく聞きますが、 日陰で風通しの良いところって意外と身の回りに少ないですよね。 冬場だとそういう所で乾燥させると2日以上かかったりします・・・。 余談ですが、私はかつて、ドライヤー使って30分くらいで乾燥させたことや ガスヒーターの前に晒して1時間くらいで乾燥させたこともありますが、 それくらいではひび割れたり極端に硬化することはありませんでした。 とにかく除湿機フル稼働の部屋の中に置いといたところ、 ほぼ1日でカラカラに乾燥しました。 |
○乾燥後の状態 乾燥後の状態です。 風呂に浸けていた影響で色が抜けてやや薄くなりましたが 極端な革の硬化やひび割れ等はありません。 見事にミンクオイルが浮いて白い粉状に付着していたものもなくなりました。 |
○オイルを入れる カリカリに乾燥した後、さすがにこのまま履くわけにはいきませんのでオイルを塗ります。 今回使用したオイルはいつも使用しているラナパーを採用しました。 ラナパーを一塗りしただけでオイルに餓えたカリカリの革は一気に潤いの表情を見せます。 ただ、今回は完全にミンクオイルを抜いた後なので、 ギン面全部に染み渡るくらいラナパーを塗りました。 (塗る量としては普段ラナパーを1回塗るところを、2回塗る程度でOKです。) 参考までに、この画像のオイルを塗った部分は、 塗りたてのところを画像に収めたため かなりオイルが乗って湿っているように見えますが、 オイルを塗って1日くらい放置しておくと 革によく浸透して下の画像のように馴染んだ状態になります。 |
○オイル塗布完了 オイルの塗布は完了いたしました。 塗りたてのときはかなり湿ったように見える表面ですが、 一日も経つとこのように革にオイルが浸透して馴染みます。 ただ、馴染んだところでブーツを見ると、 このままでは風呂に浸けたことによる色抜けの影響からか、 つま先が白っちゃけていてなんか不満です。 と言うことで、ここから靴クリームを塗ることにしました。 |
○片方だけ靴クリーム塗ってみました 向かって右側だけ靴クリームを縫ってみました。 白っちゃけた部分と傷がやや目立たなくなりました。 靴クリームを塗ると、ミッドソールのコバの荒れも解消されるので、 私はたまぁ〜に塗っています。 オイルを塗るだけではここまで均すことはできませんので、 コバの毛羽立ちや荒れが気になりだしたらぜひ皆さんもお試しあれ。 右が靴クリームを塗ったものです。 |
○完成 と言うことで左もクリームを塗りました。 左のブーツのクリームを塗る前と縫った後を見比べてみていただければ 白場や傷がどれだけ解消されたかお分かりいただけるかと思います。 とにかく、水洗いは乾燥した後にキッチリとケアしてあげれば全く怖いことはありません。 ぜひ皆さんもお試しあれ! かなり綺麗になりますよ! |
【コレくらいのモノがあれば水洗いも怖くない・・・・・はず・・・・】 |
●ラナパー
●ラナパーは高いと思われる方に ●レザーソープ ●靴クリーム |